第2回勉強会報告「信念対立解明アプローチ」

2012.05.09

太田真里子(看護師)

 

2月6日、チーム医療推進協議会第2回勉強会が開催されました。今回のテーマは「信念対立解明アプローチ」で、講師は吉備国際大学准教授の京極真先生。作業療法士であり、「哲学(構造構成主義)」「信念対立解明アプローチ」がご専門です。

この勉強会を企画している協議会メンバーが、別の機会に先生のお話をうかがって「目からウロコ!」と感銘を受け、ぜひこの協議会の勉強会に、と遠く岡山県からお招きしました。

研究と全国各地でのご講演でお忙しい中、駆けつけてくださった京極先生は、関西弁と大きなジェスチャーで、時に冗談も交えつつ、非常に具体的で、明日からの活動に実践できる講義をしてくださいました。

冒頭で「信念対立」の定義として「疑義を失った考え方が矛盾に遭遇するために生じる確執」と聞き、「難解だなぁと感じました。でも、「チーム医療は 患者中心か?や、「チーム医療のリーダーは誰か?」など、チーム医療の身近なテーマで、信念対立の実例を示して頂いて理解も深まり、日々の実践で直面する 様々な状況を信念対立の視点で考えることができました。

そして、その信念対立を「解決」するのではなく「解明」するという方法に、参加者一同まさに「目からウロコ!」。「解決」は問題が発生する条件を前 提にしたまま一定の回答を示すので、時として問題を強化してしまう場合があるのに対し、「解明」は問題が成立する要件を解き明かし、問題が問題として立ち 現れないようにする、というご説明に、フロアでは参加者それぞれが自分の経験と重ねつつ、深くうなずいていました。

具体的な「信念対立解明アプローチの説明では、チーム医療を学ぶ際に「チーム医療の実践法」を切り口にしていることが、まず対立を引き起こす原因で あるとご指摘がありました。さらに、「チーム医療は、特定の状況のもとで目的を達成するために、試行錯誤しながら実施されると認識した」うえで「何のため に必要なのか?」「どういうことで?」などの切り口で捉えることが必要とのこと。そして、解明術のポイントは「多様性」と「共通了解可能性」。「共通了解 可能性」とは、「信念対立を起こしている当事者同士が、この方向性、この内容なら了解できる可能性」という意味で、連携し合ったり分かり合ったりすること を目的にするとのことです。

チーム医療ではいろいろな専門性を持つ人々が集まり、かつ同じ職種でも同一の信念を持っているわけではありません。この2つのポイントは、自分の経験と重ねても、「全くその通り!と納得でした。

講義後の質疑では、それぞれの職場での実践に基づく具体的な質問が続出。さらに、講義後の感想や職場の問題点などを自由に話し合うグループワークで は、本企画担当者が各グループに様々な職種を意図的に配置したため、まさにチーム医療の縮図。活発に意見を出し合ったり、情報交換をしたりという貴重な時 間になりました。

先生の講義をうかがい、「信念対立解明アプローチ」を実感として理解することができた2時間でした。「もうこれで、様々な状況が解明だ!」という勢いで会場を後にしましたが、勉強会から数日経ち、理解することと実践できることの大きな違いを痛感しています。

「いい講演を聞いた」で終わらせるのではなく、実践に活用してこそ協議会の勉強会です。

この貴重な機会が実践にいきるようにしなければ、と思っています。

                                                                    

「信念対立解明アプローチ」とは?

多職種が連携するチーム医療では、自分にとっての「当たり前」がうまく通じないことがあり、ときには、バトルにまで発展 しがちです。西條剛央氏(早稲田大学大学院商学研究科専門職学位課程MBA専任講師)と京極真氏らはそのような出来事を「信念対立」と呼んでいます。 「解明アプローチ」とは、信念対立の当事者が抱く「当たり前」に疑いを持つことで、各々の視点をずらし、さらにお互いがポジティブな協力体制を築こうとし ていくための技法です。信念対立の当事者の見解が一致する結論を出す形(解決)ではなく、その問題はどうして起こっているのかを探し出し(解明)、「思い 込みに対する視点を変える」「共通の目標を再確認し、折り合いをつける」などの方法でコミュニケーションすることを提案しています。