第1回勉強会報告「MDアンダーソンがんセンターのチーム医療」

2010.11.22

日本病院薬剤師会 源川奈穂  (日本電気本社健康管理センター 薬局勤務)

 

9月1日に米テキサス大・MDアンダーソンがんセンター腫瘍内科の上野直人教授 をお招きした講演会が開催され、医療従事者や、患者団体の代表者の方達約80人が出席されました。あの、有名なMDアンダーソンの上野教授の講演と、緊張 して出かけましたが、予想に反して、上野先生は穏やかでな語り口でのお話をはじめられ、仕事帰りの疲れも忘れ、お話に引き込まれてしまいました。講演を聞 いた後、このスタイルもよい「コミュニケーション」をとるため、スキルとして身につけられたのだとわかりました。講演後の質疑応答も活発に行われ、チーム 医療のあり方についての理解が一気に深まった講演会でした。

 

上野教授は講演 で、「チーム医療とは、患者さんの満足度をより高めることを目標として、医療に関わる全ての職種が専門性を発揮することと定義され、さらにチームが充分医 に機能するためには、それぞれの職種が、高いコミュニケーションスキルスキルを持つこと、リーダーシップを発揮できること、医療のエキスパートとして正し いEBMを行うことが重要であること」をお話されました。

 

コ ミュニケーションの上手・下手は、もって生まれた性格ではなく、訓練で向上する「スキル」としてとらえ、医療者としてコミュニケーションのスキルアップ訓 練は必須。コミュニケーションができない医療従事者を暖かく見守らず、教育し、責任ある行動をとらせるようにし、責任を取らせるのかを考える必要があると の厳しいお話もありました。上野教授はチームの定義を Team A(Active Care Team)、Team B (Base Support Team)Team C ( Community Resource )と、3つに分類されています。そして、それぞれの立ち位置からのコミュニケーションの方策があることも示されています。

 

EBM については、「良い臨床研究を見つけて、そのとおり治療をおこなう簡易化・マニュアル化」と間違った解釈をされているが、EBM本来の指し示すところは まったく違い、「個々の患者の診療について決定をくだすために、最新で最良の証拠を良く考えて誰からも納得できるように、うまく利用すること」であり、 EBMは究極の個別化医療と説明されています。臨床試験論文を読み、統計学的有意差を検証し吟味することについて高いハードルを感じていましたが、エビデ ンスを吟味する力をつける必要があることを再認識しました。

 

最 後に 「チーム医療とは、業務分担ではないし、仲良しチームでもない。専門性を踏まえた職種が主張しあい、衝突しながら進んでいく。専門性の高いチーム医 療は、患者中心で、安全で、治療効率がよく、患者も・医療従事者も満足」とチーム医療の本質をまとめられた後、がん医療のドリームチーム(マイ・ドリーム  http://www.oncology-dreamteam.org/)の動画紹介で講演は終了しました。ドリームチームのHPには「たくさんの夢が 集まれば集まるほど、ドリームチームは大きく強くなり、やがて、がんを打ち負かすほどの力を持つかもしれません。」と記されています。私達のいるチーム が、ドリームチームになるためには、まだまだ険しい道程がありそうですが、「Mission と Vision」をもって行きたいと、同僚と話し合いなが ら帰路に着きました。

 

講演会の設定準備にご尽力いただきましたチーム医療推進協議会の皆様にお礼を申し上げます。

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Team A  Active Care Team 

医師、看護師、薬剤師、放射線技師、栄養士、 リハビリテーション療法士、病理技師など

Team B  Base Support Team

臨床スピリチャルケア、福祉職、心理職、ソーシャルワーカー、 音楽療法士、絵画療法士、アロマセラピスト、図書館司書、倫理士

Team C  Community Resource

家族、友人、患者会、基礎研究者、疫学研究者、製薬メーカー、 診断薬メーカー、医療機器メーカー、NPO/NGO、マスメディア、 財界、政府など